
歯科衛生士の採用コストの実態|有効求人倍率23.3倍の市場でかかる費用と対策
本記事は、歯科医院の採用・定着に関わる情報をsoeasy buddy for dental+AI編集部がまとめたお役立ちコラムです。公表データをもとに、歯科衛生士採用にかかるコストの実態と、採用力を高めるための視点をお届けします。
「求人を出しても応募がない」「ようやく採用できたと思ったら半年で辞めてしまった」——そのたびに発生する採用コストが、歯科医院経営の重荷になっているケースは少なくありません。歯科衛生士の有効求人倍率は2016年以降23倍超の水準が続いており(全国歯科衛生士教育協議会 現状調査報告書 令和7年)、歯科医院側が「選ぶ立場」に立てる状況ではなくなっています。
本コラムでは、採用コストの内訳と実態を公式データをもとに整理し、コストを抑えながら「選ばれる医院」になるためのヒントをお伝えします。
なぜ歯科衛生士の採用はこれほど難しいのですか?
歯科衛生士の採用難は、単なる人気・不人気の問題ではなく、構造的な需給ギャップによるものです。現状を数字で整理すると、その深刻さが見えてきます。
1. 需要と供給の圧倒的なアンバランス
2023年時点で歯科診療所は全国に66,818施設あり、コンビニエンスストアの総数を上回ります(厚生労働省 令和5年医療施設調査)。一方、令和6年末時点で就業している歯科衛生士は149,579人にとどまり、診療所の数に対して慢性的に不足しています。
毎年の新卒供給数は約6,680人(2024年度)に対し、求人数は158,320件以上にのぼります。求人数が新卒供給を大幅に上回ることで、有効求人倍率は23.3倍という極端な水準が続いています(全国歯科衛生士教育協議会 現状調査報告書 令和7年)。
2. 免許保有者の約半数が未就業
免許登録者数は約298,644人ですが、このうち約半数が現在は働いていない「潜在層」です(厚生労働省 歯科医療振興財団)。結婚・出産・育児を機に離職した方が多く、復職のハードルが高いことが課題です。潜在層の掘り起こしは採用の選択肢になりますが、育成・フォロー体制が整っていない医院では難しい面もあります。
3. 20代後半〜30代前半に離職の「細い時期」がある
ライフイベントが集中する年代に離職率が高まり、即戦力となる経験者の供給が構造的に細くなる時期があります。そのため「経験者を採用したい」という希望が叶いにくく、採用活動が長期化するケースが増えています。
歯科衛生士の採用にかかるコストはいくらですか?
採用コストは「媒体費用」だけではなく、選考工数・入職準備費まで合計すると、予想以上の金額になります。新人(新卒)と中途(経験者)で費用感が異なります。
4. 新人(新卒)採用の費用内訳
費用項目 | 費用目安 |
|---|---|
求人媒体費用(求人サイト等) | 10〜20万円 |
複数媒体・複数回掲載(採用できない場合) | +10〜20万円 |
養成校への求人・訪問費用 | 3〜5万円 |
面接・選考の工数ロス(院長・スタッフ時間) | 3〜5万円相当 |
入職準備(ユニフォーム・器具等) | 3〜10万円 |
合計目安 | 15〜35万円 |
※コストは業界推計値。医院規模・地域・採用方法により異なります。
5. 中途(経験者)採用の費用内訳
費用項目 | 費用目安 |
|---|---|
求人媒体費用(求人サイト等) | 15〜30万円 |
複数媒体・複数回掲載(採用できない場合) | +10〜20万円 |
面接・選考の工数ロス(院長・スタッフ時間) | 3〜5万円相当 |
入職準備(ユニフォーム・器具等) | 3〜10万円 |
合計目安 | 18〜45万円 |
※コストは業界推計値。医院規模・地域・採用方法により異なります。
中途採用は媒体単価が高め、新人採用は養成校への訪問費など独自のコストがかかります。いずれも「採用できた場合」の費用であり、採用できずに複数回掲載を繰り返した場合はこれ以上になります。
採用コストが予算の2〜3倍に膨らむリスクとは何ですか?
求人を出せば必ず採用できるわけではありません。歯科衛生士市場の構造上、応募がゼロのまま数ヶ月が経過するケースは珍しくなく、その間に追加費用が重なっていきます。
6. 採用コストが膨らむ主な要因
複数媒体への同時掲載:1媒体で応募が来なければ2媒体、3媒体と追加していくため、媒体費だけで当初の2〜3倍になることがある
掲載期間の延長:1ヶ月単位の契約を繰り返すたびに費用が積み上がる
地域・条件による採用難:駅から遠い・地方・給与水準が業界平均を下回るなど条件が重なると応募ゼロが続く可能性が高まる
選考後の辞退・内定辞退:面接まで進んでも辞退されれば再度募集が必要となり、工数とコストが二重になる
採用コストは「予算を組んで終わり」ではなく、「採用できるまで続く変動費」として捉えることが重要です。採用が長引けば長引くほど、欠員期間中の既存スタッフへの負荷も増大します。
採用コストを抑えながら「選ばれる医院」になるにはどうすればよいですか?
有効求人倍率23.3倍の市場では、「求人を出して待つ」だけでは採用が難しくなっています。採用コストを抑えるために有効な2つのアプローチがあります。
7. リファラル採用(紹介採用)を活用する
在籍スタッフから知人・友人を紹介してもらうリファラル採用は、媒体費用がかからないうえ、職場環境をよく知る人からの紹介のため入職後のミスマッチが少ない傾向があります。ただし、心理的安全性が高く、スタッフが「この職場を勧めたい」と思える職場環境が前提になります。
スタッフが職場に満足しているかどうかを定期的に把握する
在籍スタッフのエンゲージメントを高める施策を継続する
紹介制度(インセンティブ等)を整備し、紹介しやすい仕組みをつくる
8. 「学べる職場環境」を採用活動で訴求する
給与・休日・立地だけで他院と差別化することは限界があります。歯科衛生士、特にZ世代の求職者が重視するのは「ここで成長できるか」という点です。SNS型の動画マニュアルやAIアシスタントなど、最新のラーニング環境を整備し、求人票や採用イベントで積極的に訴求することが有効な差別化になります。
求人票に「入社後の学習環境・サポート体制」を具体的に記載する
「いつでも確認できるデジタルマニュアルがある」「先輩だけでなくAIに質問できる」などを伝える
内定者にアカウントを発行し、入社前から学習環境を体験してもらう
soeasy buddy for dental+AIは、院内の知識・ノウハウをスマホ1台で共有・蓄積できるプラットフォームです。医院の投稿が増えるほど、AIアシスタント「AI buddyくん」が院内の情報をもとにスタッフの質問に答えられるようになります。「AIのある職場」として採用活動での訴求ポイントになり、リファラル採用(在籍スタッフからの紹介採用)が年1名実現するだけで、採用コストの節減効果は15〜45万円/年と試算されます。また、内定者へのアカウント発行で入社前から学習体験を提供し、採用後の早期離職防止にもつながります(試算前提:歯科衛生士10名規模医院で採用コスト節減。効果は医院環境・採用方法により異なります)。
よくある質問
新人と中途、採用コストが低いのはどちらですか?
新人(新卒)の採用コスト目安は15〜35万円、中途(経験者)は18〜45万円と、新人の方がやや低い傾向があります。ただし新人は育成コストが100〜200万円程度かかるため、トータルの投資額は中途採用より大きくなります。どちらが有利かは医院の体制・育成力・定着率によって変わります。
応募がまったくない場合、どうすればよいですか?
まず求人票の内容(給与・福利厚生・職場環境)を見直し、ターゲットに響く情報が記載されているか確認してください。媒体を追加するだけでは費用が増えるだけで改善しないケースもあります。養成校への訪問、在籍スタッフへのリファラル依頼、職場環境のSNS発信なども並行して取り組むことを検討してください。
採用コストを大幅に下げることは可能ですか?
リファラル採用(紹介採用)が実現すると媒体費用をほぼゼロにできます。実現には職場の心理的安全性と、スタッフが「紹介したい」と思える職場環境づくりが前提です。採用コストの削減は定着率向上と一体で考えることが重要です。
まとめ:採用コストは「採用できるまで続く変動費」として管理する
歯科衛生士の有効求人倍率は23.3倍——求人を出しても採用できない状況が常態化している:新卒年間供給約6,680人に対し求人数158,320件以上という圧倒的な需給ギャップが背景にある
採用コストは新人15〜35万円・中途18〜45万円が目安だが、採用できない場合は2〜3倍に膨らむリスクがある:地域・条件・採用力によって大きく変わるため、計画段階で変動幅を見込んでおく必要がある
「選ばれる医院」になることが採用コスト削減の本質的な解決策:リファラル採用を生み出す職場環境と、成長を実感できる学習環境の整備が、長期的な採用コスト低減につながる
採用コストを下げるためには、求人媒体の選び方だけでなく「スタッフが自走できる職場環境」をつくることが遠回りに見えて最も効果的です。まずは自院の職場環境と情報共有の仕組みを一つひとつ見直すことから始めてみてください。

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