
歯科衛生士が離職を決める10のサイン|定着率を高めるために院長が知っておくべきこと
本記事は、歯科医院の採用と定着に役立つお役立ちコラムです。soeasy buddy for dental編集部がまとめました。
「一身上の都合で」と退職を告げられ、本当の理由はわからないまま。そんな経験を持つ院長は少なくありません。ただ、歯科衛生士が離職を決めるまでには、日々の様子に小さな変化が表れています。
本コラムでは、まず調査から歯科衛生士が辞める理由を確かめます。そのうえで、離職の前に現れる10のサインと、それぞれに気づいたとき院長ができることを紹介します。
歯科衛生士は、どんな理由で職場を辞めているのですか?
日本歯科衛生士会の2024年の調査では、実際に勤務先を変えた理由の上位は「出産・育児」(33.8%)と「経営者との人間関係」(33.2%)でした。「結婚」と「給与・待遇の面」も3割を超えています。
同会の「歯科衛生士の勤務実態調査報告書」(2025年3月公表)によると、勤務先を変えた経験がある歯科衛生士は80.8%にのぼります。2020年に公表された前回調査(76.4%)から増えています。勤務先を変えた理由の上位5つは、次のとおりです(複数回答)。
出産・育児:33.8%
経営者との人間関係:33.2%
結婚:32.4%
給与・待遇の面:32.3%
勤務形態・勤務時間:31.8%
今の勤務先を替えたいと「考えたことはない」と答えた人は、35.2%にとどまります。なお、この調査は回答者の過半数を50歳以上が占めているため、若い世代では傾向が異なる可能性もあります。
ここで挙がる理由は、退職を決めた最後のきっかけです。その前には、職場での小さな不安や不満が積み重なっています。それが表に出たものが、次に紹介する「離職のサイン」です。
歯科衛生士が離職を決める前に現れる10のサインとは何ですか?
離職の前には、人間関係・成長・待遇と働き方・情報共有・将来の5つの面で、スタッフの様子に変化が表れます。代表的なサインは次の10個です。
院長への報告や相談が、必要最低限になった
スタッフ同士の会話の輪に入らなくなった
勉強会や新しい業務の話に乗らなくなった
「衛生士の仕事ができていない」とこぼすようになった
給与や評価の基準を気にする発言が増えた
休みや早退を言い出しにくそうにしている
「聞いていない」「知らなかった」が増えた
わからないことを質問しなくなった
今後の目標を聞いても、答えがあいまいになった
医院の方針について、意見や提案をしなくなった
どれも1つだけで離職につながるとは限りません。いくつかが重なって見えたら、早めに声をかけるタイミングです。
サイン1・2:人間関係
こんな変化が見えたら:朝の報告が「はい」「わかりました」だけになる。休憩時間をひとりで過ごすことが増え、雑談に加わらなくなる。
背景にあること:調査で勤務先を変えた理由の2位が「経営者との人間関係」でした。人前で強く注意される経験が続いたり、話しかけにくい空気があったりすると、スタッフは自分から距離を取るようになります。スタッフ同士でも、話しかけやすい人とそうでない人の差があったり、情報が一部の人にしか届いていなかったりすると、「自分だけ蚊帳の外」という感覚が生まれます。
院長ができること:注意やフィードバックは、人前ではなく1対1で伝えます。あわせて、業務以外の短い声かけを意識して増やします。
サイン3・4:成長とやりがい
こんな変化が見えたら:院内の勉強会で発言しなくなる。新しい担当を打診しても「今のままで大丈夫です」と返ってくる。「最近は受付や片付けばかりで」とこぼす。
背景にあること:勤務先を変えた理由でも、「仕事内容のレベルアップのため」が25.7%を占めています。担当業務の幅が入社時から変わらない、受付や在庫管理などの補助業務に追われて衛生士業務に集中できない。こうした状態が続くと、専門職として成長したい人ほど、ほかの職場を考え始めます。
院長ができること:半年後に任せたい業務を、本人と一緒に決めます。補助業務の分担も見直し、衛生士業務に使える時間を確保します。
サイン5・6:待遇と働き方
こんな変化が見えたら:昇給や評価のタイミングを尋ねられることが増える。有給休暇の申請がいつも直前になったり、体調が悪くても無理に出勤したりする。
背景にあること:「何をすれば評価されるか」がわからないと、頑張りが報われていないという感覚につながります。また、勤務先を変えた理由の1位は「出産・育児」です。育休の制度があっても、取れる雰囲気がなければ、スタッフは出産を機に退職を選びます。
院長ができること:評価の基準と昇給の考え方を、言葉にして伝えます。賃上げには、2024年度に設けられた診療報酬の「歯科外来・在宅ベースアップ評価料」を活用できる場合があります(2026年度の改定で見直し)。算定の要件は、地方厚生局などで確かめてください。休みの申請は、理由を詳しく聞かずに受け付ける運用にします。
サイン7・8:情報共有
こんな変化が見えたら:「その話、聞いていません」という場面が増える。わからないことを自己流で進め、あとから手順の違いが見つかる。
背景にあること:ルールの変更が口頭だけで伝えられ、休んだ日の朝礼の内容が共有されない。こうした状態では、情報が届く人と届かない人の差が広がります。「これを聞いてもいいのかな」と迷って聞けないことが続くと、特に経験の浅いスタッフほど不安を一人で抱え込みます。
院長ができること:決まったことは、口頭だけでなく文字でも残します。「わからないことは、いつ・誰に聞けばよいか」をはっきりさせます。
サイン9・10:将来とキャリア
こんな変化が見えたら:面談で今後のことを聞いても「特にありません」と答える。ミーティングで意見を求めても、発言がなくなる。
背景にあること:ベテランになっても役割が広がらない、産休・育休から戻ったあとのキャリアの道筋が見えない。こうした状態では、5年後・10年後の自分の姿を描けません。また、「患者さんのために」という方針と、院内の実際の働き方が合っていないと感じると、医院への気持ちは少しずつ離れていきます。
院長ができること:主任やチーフなどの役割を、名前だけでなく任せる仕事とセットで用意します。医院の方針は、日々の判断の場面で「なぜそうするか」を添えて伝えます。
サインに気づいたら、院長はまず何をすればよいですか?
まずは、責めたり引き止めたりする前に、本人の話を聞く場をつくることです。そのうえで、情報が全員に届く仕組みと、評価と成長の道筋を整えていきます。
短い面談で話を聞く:月に1回、15分ほどでも構いません。「最近困っていることはある?」「これから挑戦したいことは?」のように、答えやすい問いから始めます。
情報が全員に届く仕組みをつくる:朝礼の内容やルールの変更を、休んだ人もあとから確かめられる形で残します。
評価と成長の道筋を言葉にする:何ができるようになれば評価されるのか、次にどんな役割を任せたいのかを伝えます。
声をかけ合い、情報が届く職場をつくるには、どんな仕組みが役立ちますか?
日々の声かけと情報共有を、特別な場ではなく毎日の業務の中で続けられる仕組みが役立ちます。soeasy buddy for dental+AIは、院内の連絡・情報共有・マニュアルを1つにまとめた、歯科医院向けのサービスです。10のサインに合わせると、次のような場面で役立ちます。
院内だけのチャットで、1対1の声かけがしやすくなる(サイン1・2):プライベートのLINEとは別に、院内の人だけでやりとりできるチャット「トーク」があります。業務の連絡だけでなく、院長から個別に声をかけるきっかけにもなります。
感謝や「いいね」を、ワンタップで伝えられる(サイン1・2):院内の掲示板「タイムライン」の投稿には、スタンプを押せます。「#感謝」のハッシュタグも用意されていて、ちょっとした承認を言葉にしやすくなります。
休んだ日の朝礼も、あとから確かめられる(サイン7):朝礼の内容をタイムラインに残せば、休んだスタッフにも届きます。誰が見たかはスタンプで確かめられます。録音をアップロードするだけで文字起こしされた投稿になる機能もあります。
聞きにくいことを、AIに聞ける(サイン8):自院専属AI「AI buddyくん」が、院内の投稿をもとに質問に答えます。先輩に聞きにくい小さな疑問も、自分で解決できます。
休みの日に、仕事の連絡が届かないようにできる(サイン6):連絡は、勤務時間内に届くように予約して送れます。
先輩の手技を、動画で見て学べる(サイン3・4):撮影した動画をアップロードすると、AIがチャプターを付けてマニュアルに仕上げます。見て学べる機会が増え、成長の手応えにつながります。
投稿が増えるほど、AI buddyくんの回答は医院に合ったものに育っていきます。
よくある質問
歯科衛生士は、転職の多い職種ですか?
勤務先を変えた経験がある歯科衛生士は80.8%にのぼり、多くの人が一度は職場を移っています。日本歯科衛生士会の2024年の調査によるものです。今いるスタッフも、転職を選択肢の1つとして持っていると考えておくのが自然です。
院長には話しにくそうなスタッフには、どう声をかければよいですか?
院長以外にも相談できる相手を用意しておくことをおすすめします。主任やベテランの衛生士に面談の一部を任せたり、文字で気軽に相談できる窓口をつくったりする方法があります。院長が直接聞く場合は、評価の場と切り離し、「困っていることはないか」を聞く場だと最初に伝えます。
退職を伝えられたあとでも、医院としてできることはありますか?
退職の理由を、責めずに聞いておくことです。本人の決断は変わらなくても、聞いた内容は、残るスタッフが働きやすくなる改善のヒントになります。引き継ぎの期間に業務の手順を動画や文書で残しておくと、次の人の育成にも役立ちます。
まとめ:サインに気づき、声をかけ合える職場が定着率を高める
歯科衛生士の離職は、ある日突然起きるように見えて、多くの場合はその前にサインがあります。
離職の前には10のサインが表れる:報告や相談が減る、質問しなくなる、目標の話があいまいになるといった変化が予兆です。
気づいたら、まず話を聞く:引き止める前に短い面談で本人の話を聞き、評価と成長の道筋を言葉にして伝えます。
声かけと情報共有を、毎日の仕組みにする:トークやスタンプでの声かけと、休んだ人にも届く情報共有を続けることが、サインに早く気づく土台になります。
離職を防ぐことは、採用コストを抑えることであり、患者さんへの継続的なケアの質を守ることでもあります。まずは無料相談・デモで、貴院のスタッフ定着の現状をお聞かせください。

取材協力
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