
本記事は、ウェビナー「歯科医院必見!『最新の予防策』知識アップデート」の内容をもとにしたお役立ちコラムです。soeasy buddy for dental編集部がまとめました。
取材協力:WEISM 歯科物販マネジメント衛生士 西田香奈江 先生
「メンテナンスの重要性は伝えているのに、患者さんのセルフケアがなかなか変わらない」。「スタッフによって、患者さんへの説明内容や物販提案にばらつきがある」。「物販は大事だと思うけれど、売ることに抵抗がある」。そんなもやもやを抱えている歯科医院の院長・スタッフの方は、少なくないはずです。
西田先生は2007年に歯科衛生士資格を取得し、医療法人での分院立ち上げやチーフを経て独立したフリーランスの歯科物販マネジメント衛生士です。2025年度には、リアル・オンラインあわせて累計550名以上の歯科医療従事者に物販指導を行いました(ウェビナーでのご本人の発表より)。何度治療しても再発する患者さんを前に、先生は「チェアサイドの60分よりも、その後の365日の過ごし方の方が大きい」と痛感したそうです。それをきっかけに、治療から予防へ、そして物販へと軸を移してきたといいます。今回のウェビナーで語られた「これからの予防設計」の考え方を、院内で実践できる形に整理してご紹介します。
なぜ歯科医院での治療だけでは、口腔の健康を守りきれないのですか?
患者さんが自宅で過ごす時間の方が、歯科医院でのプロフェッショナルケアの時間よりも圧倒的に長いからです。予防の主戦場は、来院日ではなく日々のセルフケアに移っています。
西田先生はウェビナーの中で、次のような時間の比較を示しました。1回60分のメンテナンスを3か月に1回(年4回)受けても、合計はわずか240分です。一方、1回3分のブラッシングを1日3回、365日続けると、合計は3,285分にのぼります。実際の時間は患者さんごとに異なりますが、歯科医院で行うプロフェッショナルケアだけでは、口腔内の変化を支えきれません。この考え方が、これからの予防設計の土台になります。
これまでの予防は、歯石除去や定期検診などプロフェッショナルケア中心で、ホームケア指導は「頑張って磨いてください」というお願いベースになりがちでした。これからの予防歯科では、来院時にリスクや口腔内の状態を評価します。そのうえで、患者さんが自宅で迷わず実践できるセルフケアの道具までセットで提案する「365日設計型」への転換が求められています。
高齢者の予防で見落としやすいポイントは何ですか?
見落としやすいのは、食べる・話す・飲み込むという生活そのものを支える発想です。虫歯や歯周病といった口腔内だけの対応にとどまらず、口腔清掃・口腔乾燥への対応・口腔機能のサポートという3つの視点で考えることが大切です。
内閣府「令和8年版高齢社会白書」によると、2025年10月1日時点の65歳以上人口は3,622万人です。総人口に占める割合(高齢化率)は29.4%で、過去最高を更新しました。10年前(2015年)の26.7%から2.7ポイント上がり、いまやおよそ3.4人に1人が65歳以上です(2015年の値は内閣府「平成28年版高齢社会白書」)。
西田先生は、高齢者の口腔機能低下が進むと、飲み込みにくさや低栄養、フレイル・サルコペニアといった全身の状態にも影響が及ぶと説明しています。なお、2018年度の診療報酬改定では「口腔機能低下症」が保険診療の対象病名として新たに収載されています。歯科医院からは、次のようなセルフケア用品の提案が考えられます。
口腔清掃:義歯の清掃・管理に使う用品と、残っている歯を守るセルフケア用品をセットで提案
口腔乾燥への対応:保湿剤ジェル・洗口液・スプレータイプなど、日常的に使いやすい保湿アイテムの案内
口腔機能のサポート:咀嚼・舌・口唇のトレーニング用ガムや訓練グッズを、機能訓練の一環として提案
付き添いのご家族や施設のスタッフが同席している場合は、伝え方を工夫すると提案を受け入れてもらいやすくなります。たとえば「誤嚥性肺炎のリスクを減らすために、お家でのケアを一緒に整えていきましょう」と声をかけます。
歯周病がなかなか治らない・再発するのはなぜですか?
歯石除去やPMTCといった「除去」に意識が向きがちで、「汚れをつきにくくする対策」と「取り残した細菌への対策」が組み合わされていないためです。プラークコントロールでは、除去を含む3つの要素をバランスよく組み合わせて、セルフケアを処方することが大切です。
歯周病は歯を失うだけの病気ではなく、糖尿病や心疾患、認知症(アルツハイマー病)などとの関連が指摘されています(日本臨床歯周病学会「歯周病が全身に及ぼす影響」)。SRPやPMTCといった治療をきちんと行っていても、数年後に同じ部位が悪化してしまうケースがあります。自宅でのセルフケアという「診療だけでは届かない領域」へのケアが、手薄になりやすいためです。西田先生は、トータルなプラークコントロールを次の3つで整理しています。
形成抑制:そもそも汚れ(バイオフィルム)をつきにくくするアプローチです。殺菌作用のある洗口液や、唾液の質を変えるガムなどが該当します
物理的コントロール:歯ブラシ・フロス・電動ブラシ、歯科医院でのPMTCなど、汚れを物理的に落とすアプローチです
病原性の低下:どうしても磨き残してしまう汚れに対して、歯磨剤や洗口液の薬用成分で殺菌・コントロールする化学的なアプローチです
「ここ、また汚れが残っていますよ」と繰り返し指摘するだけでは、患者さんの頑張りを否定してしまうことがあります。除去できなかった汚れに対しては薬用成分でカバーするという視点を伝えることで、患者さんは「頑張りすぎなくても続けられる」という安心感を持てるようになります。
患者さんがセルフケア用品を選べないのはなぜですか?
患者さんは知識がないのではなく、自分の口腔内に何が合うかを判断する材料を持っていないためです。インターネットやSNSで情報は手に入りますが、出血の場所や汚れのつき方、残っている細菌の状態は口腔内を見なければ分かりません。
使用感や好みで歯ブラシ・歯磨剤を選ぶこと自体は問題ではありません。ただ、「どれくらい続ければいいのか分からない」「本当に効果があるのか不安」という状態のまま、ドラッグストアでバラバラに購入している患者さんは少なくないでしょう。西田先生は、この状態を次のように変えていく必要があると説明します。
口腔内写真や出血の有無など、現状を患者さんと一緒に「見て」把握する
「なぜ今の状態になったのか」「なぜこの商品が合っているのか」を伝え、納得を得る
歯ブラシ・歯磨剤・補助用具をセットで処方し、使い方と目指すゴールまで一緒に設計する
「知らない」状態を「知っている」状態に変え、「選べない」状態から「選べる」状態に変えること。これが、物販提案を押し売りで終わらせず、患者さんの行動の変化につなげる出発点になります。
スタッフごとにばらつく物販の説明を、院内で統一するには?
誰が説明しても同じ内容が伝わる状態をつくることです。具体的には、説明フローの統一と、いつでも見返せる動画マニュアルの整備が有効です。
物販で「誰に・何を・どう伝えるか」が仕組み化されていないと、スタッフごとに説明内容や熱量がばらつきます。新人教育に時間を割けず、忙しいと物販の説明が後回しになりがちだという声も少なくありません。西田先生は、説明を院内で標準化する工夫として次の3つを挙げています。
サイズの選び方・使用方法・提案のタイミングなど、説明の流れをフローとして統一する
学んだ内容をマニュアルとしてデータで共有し、常勤・パート・新人を問わず同じ情報にアクセスできるようにする
患者さんへの説明の様子を動画で残し、「説明が上手なスタッフのやり方」をチームで共有できるようにする
動画で事前に予習できれば、診療の合間に教育の時間をとらなくても、新人スタッフが先輩と同じ説明で患者対応に入れます。誰に聞いても同じ答えが返ってくれば、指導が偏らず、患者さんも安心できます。
説明の標準化に、soeasy buddy for dentalはどう役立ちますか?
スマホで撮った動画をアップロードするだけで、いつでも見返せる動画マニュアルとして蓄積できます。物販研修の内容や新人教育の手順を、院長やベテランだけが知っている状態から、医院全体で共有できる状態に変えられます。
今回のウェビナーでは、西田先生のクライアント医院でも、物販研修の動画をスマホでいつでも見返せる形で共有していることが紹介されました。事前にマニュアル動画があれば、経験の浅い新人衛生士でも「その通り説明すればすぐに患者対応ができる」状態がつくれるといいます。soeasy buddy for dentalは、こうした場面を次のように支えます。
スマホで見られる動画マニュアル:物販の説明トークやセット提案の手順を動画で残し、新人もスキマ時間に見返して予習できます
全員で更新できるフォルダ:新商品の入れ替わりや説明内容の変更を、その場で追記・更新できます
AIアシスタント「buddyくん」:医院に蓄積した投稿をもとに、スタッフからの質問に回答します。聞きづらい場面でも自分で確認できます
投稿が増えるほど、自院専属AIの回答は医院に合ったものに育っていきます。物販の説明トークも、院長やベテラン一人の頭の中ではなく「医院の資産」として積み上がります。
よくある質問
物販は「売ること」を目的にすると、患者さんに嫌がられませんか?
伝え方次第で、押し売りの印象は避けられます。一方的に商品を説明するのではなく、患者さんの口腔内の状態を一緒に確認し、なぜその商品が合っているのかを伝えて納得してもらうプロセスが大切です。西田先生は、患者さん自身に「自分ごと」として捉えてもらうことが、押し売り感をなくすポイントだと説明しています。
高齢者向けの予防では、どんな商品を提案できますか?
ウェビナーでは、義歯の洗浄剤や、口腔乾燥に対応する保湿剤・洗口液が紹介されました。あわせて、咀嚼や舌・口唇のトレーニングを兼ねたガムなど、機能訓練を意識した商品を案内する方法も紹介されていました。
物販研修や説明マニュアルは、忙しい診療の中でどう共有すればよいですか?
診療中にまとめて教育時間を確保するのではなく、スマホで見返せる動画マニュアルを整備し、スキマ時間に予習・復習できる状態にする方法が紹介されていました。新人スタッフでも、事前に動画で内容を把握してから患者対応に入れるようになります。
まとめ:予防と物販は「365日を支える仕組み」
高齢者予防・歯周病予防のいずれも、鍵になるのは歯科医院での60分ではなく、患者さんが過ごす365日のセルフケアでした。
プロフェッショナルケアだけでなく、自宅でのセルフケアをセットで設計する「365日設計型」の予防への転換が必要
プラークコントロールは除去だけでなく、形成抑制・物理的コントロール・病原性の低下を組み合わせたトータル処方で考える
院内で説明のばらつきをなくすには、説明フローの統一と、いつでも見返せる動画マニュアルによる仕組み化が効果的
予防を「頑張ってください」というお願いから、「一緒に設計するもの」に変えていくために、院内の説明を揃える仕組みづくりから始めてみませんか。まずは無料相談・デモで、貴院の物販・セルフケア指導の現状をお聞かせください。

取材協力
西田 香奈江 さん
WEISM
歯科物販マネジメント衛生士
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西田 香奈江 さん
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歯科物販マネジメント衛生士
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